ST175.0032
プロフェッショナルを小型化したようなデザインで
1980年代後半に発売されたスピードマスター・
オートマティックである。プロフェッショナルとは
インダイヤルの位置が違い、スモールセコンドが3
時位置に、30分計は9時位置にある。30分計の
動き方も違い、プロフェッショナルはセンターセコ
ンドが59秒から0秒を通過する時に「カチッ」と
動くのに対し、これはじわりと常時動くタイプであ
る。裏蓋の構造も違い、防水のスナップ式である。
プロフェッショナルの大きいケースサイズに馴染め
な人たちには好評で、スーツ等に合わせて不自然さ
はなく、デザインバランスが優れている。
マニアの方は3515−50と製品番号で呼ぶよう
であるが、修理、メンテナンスの際にはケースのレ
ファレンスナンバーで呼ばないと不都合が多い。

裏蓋を外すと、見慣れたETA Cal. 289X系のムーブメントが
顔を覗かせる。クロノグラフではあるが、通常の3針式オー
トマティック・ムーブメントの上にクロノグラフモジュール
を搭載する構造のために、裏蓋を開けただけではクロノグラ
フ機構を見ることは出来ない。ローターと地板に美しく装飾
が施されているが、このモデルに関してはシースルーバック
のモデルは発売されないと思っている。(たぶん・・・)
























左の画像はクロノグラフ・モジュールを取外
したところである。3本のネジとクランプだ
けて取り付けてあるだけなので、簡単に取外
すことが出来る。「二階建てクロノ」などと
いう、あまり有難くない名称で呼ばれる所以
である。


左上の画像はベースムーブメントの上にクロノグラフのベース
プレートを取り付けた状態である。中央にベースムーブメント
からの動力伝達のための穴が開いている。右上の画像が動力伝
達部分である。通常は秒針を取り付ける4番車のシャフトにク
ロノグラフ駆動車が取り付けられており、スモールセコンドに
もここから動力が供給されている。仮組みしたスモールセコン
ドの輪列を見ると伝わり方が分かると思う。また、通常は分針
を取り付ける筒カナに取り付けられた駆動車から、時/分針へ
動力が供給される。

右の画像はクロノグラフ機構を組上げ、あとはカ
バーブリッジを乗せてネジで固定するだけまで組
んだ状態である。クロノグラフ駆動車とBの中間
車は常時連動し、クロノグラフのスタート/ストッ
プボタンを押すとCのクラッチが上下し、クロノ
グラフへの動力の伝達をオン/オフさせる。
時/分針の駆動車の動力はAの歯車(駆動車と噛み
合う歯車と鼓状に組まれている)に伝わり、この
歯車が筒カナと噛み合う。そして筒カナに取り付
けた分針を動かす仕組みである。
画像を見るととても複雑そうに見えるが、分解/
組立はさほど難しくはない。
このムーブメントにはCal. 3220からCal.1143ま
で数種類のバリエーションがあるが、大きな違い
はない。






















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